診療案内
私共の医療法人創究会新地クリニックは、無床の診療所であり、様々な制限はございますが、現在休院中の小高赤坂病院の行ってきた地域精神医療を、その一部でも再開することを目的として設立されました。
社会は常に変化しており、その時代に求められる、個人の能力や特性にも、社会の要請が反映されます。現在は、SNSなどのインターネットを使ったコミュニケーションが広く行き渡っていますが、 友人間でも仕事上の人間関係でも、短時間に、多くの人と、断片的な情報のやり取りだけで、 対人関係をうまく維持したり、顧客や上司や同僚の意図をつかんで、それらをスムーズに処理するなど、 「他者の心を鋭敏に読み取り、それに素早く対応する」ことが求められます。 そういった現代的な対人スキルが、過剰なほどに重要視される傾向が生じており、 いわゆる「空気が読めない」というような表現は、 そのような現代的な対人スキルに秀でていないことを、不必要にマイナス評価しているように思われます。 そのような、人間関係上のつまづきを発端に、心や体のバランスを崩してしまう方が多くいらっしゃると感じています。
「心の病」は、その人の心が環境に対して反応を起こすことによる「心因」性のもの、脳そのものに物質的な原因が確認される「外因」性のもの、遺伝的な影響は確認されているものの、 物質的な原因は不明な「内因」性のものの3種に大別されます。「心因」によるものに対しては、お薬は必ずしも必要ではなく、心の反応を読み解き、それに対応する方法を考えていくことが重要です。 「外因」によるものであれば、物質的な原因に応じて、身体的な治療を行うことで改善することがあります。「内因」によるものは、現在は「統合失調症」と「双極性感情障害」とにまとめられていますが、 その多くはお薬による治療が有効です。
精神科の飲み薬や注射薬による治療は、内科などで行われる薬物療法と基本的には同じです。ただ、精神科で使用される薬物は、基本的には脳の神経の伝達に影響をあたえる物質であり、作用においても個人ごとの差が大きく、 基本的には、一種類ずつ、少量から使用します。そして、薬の量や種類を少しずつ調整して、ねらった効果がでるように工夫してゆきます。「お薬は飲み始めたらずっと飲まないといけないのですか?」と質問される方がおられますが、 基本的にはそのようなことはなく、多くの薬は、症状が改善したら減らしたり、終了したりできます。飲み続ける方がよいと判断されるのは、お薬を減らしたり中止したりすると、 繰り返して何度も強い精神的な症状がでてしまう場合に限られます。薬物療法に限らず、すべての治療は、その人の人生が全体として、より実りあるものになることこそが大切だと考えます
自分自身が「精神的な不調」を自覚することは、稀なことではないかもしれませんが、「心の病」の状態にあるかどうかは、自覚することがなかなか難しいものです。どうぞ、気兼ねなくご相談下さい。