新地クリニック

0244-63-2700

福島県相馬郡新地町谷地小屋字舛形155番地
JR常磐線 新地駅東口

診療案内

   私共の医療法人創究会新地クリニックは、無床の診療所であり、様々な制限はございますが、現在休院中の小高赤坂病院の行ってきた地域精神医療を、その一部でも再開することを目的として設立されました。

   人が「心を病む」とは、一体どういうことでしょうか。さらに「心」とは一体なんでしょうか。

   「意識」という現象の中心の坐が脳にあることを否定する人はまずいないでしょう。「意識」を基礎とする精神現象を科学的に解明しようとする研究が世界中で行われており、膨大な知識が、まさに日進月歩で蓄積され続けています。
   しかし脳という臓器は、超複雑な構造からなっており、「意識」という特別なはたらきにより、自己が自己を含めた世界を認識する、他の臓器とは質的に異なった機能を有しています。したがって、「脳を知る」ということは、「脳が脳を知る」という、いわゆる「入れ子構造」のような原理的再帰性をはらんでおり、そのようなことも含めて、「意識」の原理的な解明はいわゆるハード・プロブレムとされる超難問であり続けています。

   昨今、人工知能が再び注目を集めており、囲碁や将棋の世界ではプロを負かすほどの能力も獲得し、いずれは人知を超える存在になるのではないかという話題になったりもしますが、その人工知能を作ったのも、元はといえば、人の脳なのです。人の脳は、もちろん、「自然に」できたものであり、だからこそ、その成り立ちや機能の複雑さや不思議さに驚かずにはいられないのです。

   確かに、脳の作動原理の全体的解明は超難問であり、「なぜ」意識が生まれるのか、「なぜ」心を病むのか、という疑問に、科学的に答えることができるようになるのは、まだ相当先のことになると思われ、現在も様々な仮説が検証されている段階です。

   しかし、私たち精神科医は、「どのように」人の意識や記憶、さらに高次の脳機能が障害されたり、「どのように」人が心を病むことがあるのか、ということについては、経験的な知識を共有しており、先人たちの深い洞察に満ちた観察を書籍から読み継いだり、同世代の医師たちと経験や知識を語り継ぎながら、心を病む人に、「どのように」接していくことが有効なのかを、考え続けています。精神医学は人の精神的側面を対象とする医学の一分野ですが、私達の診療は、精神医学を基礎にして、ひとりひとりが抱える問題をよく吟味して、「どのような」支援が有効なのかを提案し、それを実践してゆくことだと考えています。

   「心の病」は、その人の心が環境に対して反応を起こすことによる「心因」性のもの、脳そのものに物質的な原因が確認される「外因」性のもの、遺伝的な影響は確認されているものの、物質的な原因は不明な「内因」性のものの3種に大別されます。「心因」によるものに対しては、お薬は必ずしも必要ではなく、心の反応を読み解き、それに対応する方法を考えていくことが重要です。「外因」によるものであれば、物質的な原因に応じて、身体的な治療を行うことで改善することがあります。「内因」によるものは、現在は「統合失調症」と「双極性感情障害」とにまとめられていますが、その多くはお薬による治療が有効です。

   精神科の飲み薬や注射薬による治療は、内科などで行われる薬物療法と基本的には同じです。ただ、精神科で使用される薬物は、基本的には脳の神経の伝達に影響をあたえる物質であり、作用においても個人ごとの差が大きく、基本的には、一種類ずつ、少量から使用します。そして、薬の量や種類を少しずつ調整して、ねらった効果がでるように工夫してゆきます。「お薬は飲み始めたらずっと飲まないといけないのですか?」と質問される方がおられますが、基本的にはそのようなことはなく、多くの薬は、症状が改善したら減らしたり、終了したりできます。飲み続ける方がよいと判断されるのは、お薬を減らしたり中止したりすると、繰り返して何度も強い精神的な症状がでてしまう場合に限られます。薬物療法に限らず、すべての治療は、その人の人生が全体として、より実りあるものになることこそが大切だと考えます。

   自分自身が「精神的な不調」を自覚することは、稀なことではないかもしれませんが、「心の病」の状態にあるかどうかは、自覚することがなかなか難しいものです。どうぞ、気兼ねなくご相談下さい。